動的環境切替システム Environment Modules マニュアル

Environment Modules とは

Environment Modules とは，各ユーザの実行パスやライブラリ・パスなどの環境変数をコマンドによって書き換えることで，利用者の環境を動的に変更するソフトウェアです．

例えば，roo にログインした直後は，gcc のバージョンは 4.8.2 です．

% ssh roo.cc.uec.ac.jp
Last login: Tue Feb 11 09:42:26 2014 from 172.xx.xx.xx
user@roo[~]% gcc --version
gcc (GCC) 4.8.2

moduleコマンドで gcc をアンロードすると，システムデフォルトのバージョン 4.4 が使われるようになります．

user@roo[~]% module unload gcc
user@roo[~]% gcc --version
gcc (GCC) 4.4.7 20120313 (Red Hat 4.4.7-4)

さらに module コマンドでバージョン 4.9 をロードすると，以降は 4.9 が使われます．

user@roo[~]% module load gcc/4.9.0
user@roo[~]% gcc --version
gcc (GCC) 4.9.0 20140209 (experimental)

このように，module コマンドを使って，様々なソフトウェアやそのバージョンを切り替えながら使うことができます． Intel MPI や MPICH のように，特徴の異なる同種のソフトウェア（ライブラリ）を切り替えて使うこともできます．

利用可能ソフトウェア一覧を見る

利用できるソフトウェアの一覧を確認するためには，コマンドから module avail と入力します．

% module avail
------------- /etc/modulefiles -----------------------------
cuda/5.5               express/8.1.1          gcl/2.6.10    
emacs/24.3             gaussian/09D.01        gnuplot/4.6.4

最初にcuda/5.5という項目がありますが，cudaがソフトウェア名，5.5がバージョンです．

ソフトウェアの新しいバージョンがリリースされた場合は，随時 Modules に追加登録します．お使いのソフトウェアの最新版をお探しの場合は，一度 modules avail でお使いのソフトウェアの新しいバージョンが追加されていないかご確認ください．

ソフトウェアをロードする

ソフトウェアをロードする時は，コマンドラインから module load <ソフトウェア名>/<バージョン> と入力します．以下の例では，Maple をロードしています．

[user@roo ~]$ maple
maple: Command not found.
[user@roo ~]$ module load maple/17
[user@roo ~]$ maple
    |\^/|     Maple 17 (X86 64 LINUX)
._|\|   |/|_. Copyright (c) Maplesoft, a division of Waterloo Maple Inc. 2013
 \  MAPLE  /  All rights reserved. Maple is a trademark of
 <____ ____>  Waterloo Maple Inc.
      |       Type ? for help.
>

module maple/17 の実行後に maple コマンドが使えるようになりました．

ロードされているソフトウェアを確認する

ロードされているソフトウェアを確認する時は，module list コマンドを使います．以下の例では，Maple 17 がロードされていることがわかります．

% module list
Currently Loaded Modulefiles:
  1) maple/17

ソフトウェアをアンロードする

ソフトウェアをアンロードする時は，コマンドラインから module unload <ソフトウェア名>/<バージョン> と入力します．以下の例では，Maple 17 をアンロードしています．

% module unload maple/17
% maple
maple: コマンドが見つかりません.

ソフトウェアを切り替える

ソフトウェアを切り替えるとき，アンロードしてからロードする方法もありますが，コマンドラインから module switch <変更前ソフトウェア名>/<バージョン> <変更後ソフトウェア名>/<バージョン> と入力すると，この操作を一度にできます．以下の例では，gcc を 4.5.4 から 4.6.4 に切り替えています．

% gcc --version
gcc (GCC) 4.5.4
・・・（略）・・・
% module switch gcc/4.5.4 gcc/4.6.4
% gcc --version
gcc (GCC) 4.6.4
・・・（略）・・・

ログイン時にソフトウェアを自動ロード／アンロードする

ログイン時にソフトウェアを自動ロード／アンロードしたい場合は，.tcshrc や .bashrc に module コマンドを書いてください．以下の例は，tcsh を利用している場合に，ログイン時に Maple をロードし，MATLAB をアンロードする設定例です．

% vi ~/.tcshrc （エディタで .tcshrc を編集する．）
module load maple/17        （.tcshrc に左の内容を追記する）
module unload matlab/2013b

編集後，roo にログインをすると以下のように Maple がロードされ，MATLAB がアンロードされた状態から操作できます．

% ssh user@roo.cc.uec.ac.jp
user@roo.cc.uec.ac.jp's password: 
Last login: Sat Feb 01 18:12:xx 2014 from 172.21.xx.xx
[user@roo ~]$ module list
Currently Loaded Modulefiles:
  1) maple/17